主日礼拝証詞　　 　　　2017年11月5日　　　　 　渋谷日本基督会


　　新天新地　　　　　　　　　　　　細 田 篤 志
　　　　　聖書 ヨハネ黙示録　二一章1〜8節

　昨年の七月からヨハネ黙示録を読み始めたが、本日の二一章と十一月十九日の最終章二二章でひとまず黙示録の證詞は終了する。本日の聖書箇所二一章1節〜8節の「新天新地」は、黙示録の結論、クライマックスの部分に相当する。二一章の残りの9〜21節では新しいエルサレムの外観が描かれ、さらに22節〜二二章5節では都の内部とそこでの人々の生活について書かれている。

　「新しい天と新しい地」の「新しい」の原語「カイノス」は、新年などの時間的に新しいことを意味する「ネオス」に対して、「いまだかつてなかった、永遠に滅びることのない」質的な新しさを意味し、古いものと対照されて、古いものにとって代わる意を含むこともある。従って「新天新地」は、創世記の世界創造を第一とするならば、第二の創造、新創造とも云われている。

　しかし「新天新地を見た」というのは、何か外見上で今までと違った天と地が見られたというのではない。また場所的に考えた天と地ではない。この箇所は旧約のイザヤ書六五・17「見よ、わたしは新しい天と、新しい地とを創造する。さきの事はおぼえられることなく、心に思い起こすことはない」によったと云われる。前章でサタンが滅び、悪の象徴であった海もなくなって、人間の心からサタンの力が消え去ると、たとえ周りの世界は同じであっても、讃美歌三五五番で歌われている新しい世界が眼前に現れてきて、全く異なる世界を見ているように感じるのである。新しくされたのはむしろそれを目にしている人間の側であり、古い人（肉の人）が滅んで、新しい人（霊の人）が創造されたのである。

　黙示録は、神、小羊、それに属する人たちに対して竜（サタン）と獣（反キリスト）に仕える人たちが挑む闘争が描かれている。この戦いには私たちもまた召されており、各自が神につくのか、サタンにつくのかを決めるように選択を迫られている。そして最後に勝利し勝ち残る者は、神と小羊とそれに属する人たちである。

　3節「神の幕屋は人々のうちに（メタ）あり、即ち彼は彼等のうちに（メタ）幕張し給ひ、また彼は彼等の神たるべし」は、神と人とが　住居を同じくするばかりでなく、心と思いも一つにして、ともに交わることができる創造当初のエデンの園が実現することを意味する。旧約の時代は、神と人とが隔てられおり、「人は神のみ顔を見ることはできない。神を見るものは死ぬ」（出エジプト三三・20）と云われていた。そしてこの隔たりが、新約の時代になってイエス様によって取り除かれたのである。古い創造は新しい創造へと取って代わらなければならない。そして私たちはイエス様を真の神と崇め、イエス様に祈り、真の神と交わることができるようになった。まさに黙示録で描かれていることが、私たち一人ひとりの上に新しい創造として成就したのである。