入瞑者記念礼拝証詞　　 　2019年9月15日　　　　 　渋谷日本基督会


　汝基督大生命也　　　　　　　　 　　　　　　細田 篤志
　　　　　聖書　マタイ伝 十六章13～20節

　本日の礼拝は、主なる神を信じ会員として入瞑された方々の信仰を偲ぶとともに、跡に続く私たちの主イエスに対する信仰をなお一層堅固なものにするための礼拝です。私たちは、入瞑された方々を記念するために、お写真や遺品を展示する記念室を二〇一六年九月に造りました。私たちがこの集会を今日続けることができるのは、創立者である尾島先生を始め、主に従い困難な時にも集会を継承し維持してこられた方々のおかげです。そのことを常に忘れずに感謝したいと思います。

　今年の入瞑者記念礼拝では、日本基督会の創立者である尾島先生の信仰についてお話ししたいと思います。入瞑された方の半数は、今ここにいる私たちと同様に尾島先生とはお会いする機会はなかったかもしれません。しかし森先生、山根先生を始めとする尾島先生から直接教えを受けた諸先輩方が、尾島先生の信仰について証詞されるのを聞いてきました。

　尾島先生の信仰生活の最初の二五年はカルビン主義者でしたが、慈雲尊者の『十善法語』を読み感ずる処があり、「神は生命なり」と悟り、その後は入瞑されるまで「生命中心の基督道」を宣べ伝えられました。この渋谷基督会も先生の「生命中心の基督道」の信仰を土台として立てられたものです。本日はここに渋谷会会堂二階の和室の壁に長年掲げてあった尾島先生御書の扁額を展示していますが、この御書は先生入瞑後に、森ふみ長老が額に表装して教会に残されたもので、昭和四四年に新会堂ができた時から、和室の壁に掲げて大切されてきたものです。しかし額は、それから七十年が経ち、日焼けして茶色くなり、一昨年の大雨で和室の天井が雨漏りした際に大きなシミが出来て、裏張りも破けたので、総会で補修することが決まり、今年二月から四ヶ月かけて安来市の横川伯鳳堂に依頼してようやく修復されたものです。この書は先生が入瞑される一年半前のもので、尾島先生の信仰の神髄が「汝基督大生命也　一九四九　十月八日　真治」と躍動感あふれる見事な筆遣いで書かれています。

　尾島先生は、イエス様に対する本日の引用箇所のペテロの告白の新契約聖書（口語訳も同じ）の「生ける神の子」の訳の箇所を間違いだとして、「使徒たちは生命中心主義者ですから、『生ける神』として、生命を神の形容詞には決して致しません。生命中心主義者たる余は、『汝大基督、大神大子、大生命也』と書斎の額などには記します。」と入瞑される一年前に発行された『基督知識』（第百七十二号）の中で記しておられます。またその箇所をThou art the Christ, the Son of the God, the Living.（汝は基督、神の子、生ける者なり）と、基督、神の子、生ける者、を同格に英訳されています。

　入瞑された方々は、主イエスを信じて主イエスに祈り、この世にあっては、定められた馳せ場を見事に完走されました。そして主から勝利の冠として「常々の生命」を与えられ、大生命者である主イエスと共に今も生きて、残された私たちを見守り、私たち一人一人に語りかけておられるのです。